タバコは男性不妊に関係する？知られざる精子へのダメージとは？

喫煙は精子にダメージを与えるのか？

夫婦生活も良好、体も健康、それなのになぜ妻は妊娠しないのだろう…？タバコを吸いながら悩んでいる、その「タバコ」こそが理由かも知れません。不妊の原因のひとつに、喫煙も大きく関与しているのです。女性の喫煙が妊娠率を下げることは割と知られていますが、実は男性の喫煙も副流煙による女性への影響のほかに、精子にダメージを与え、妊娠率を下げてしまうのです。タバコを吸うことで体内が酸欠状態になり、さまざまな機能が正常な役割を果たせなくなります。その影響は精巣にもおよび、機能が低下した精巣は精子の質を下げてしまうのです。では具体的にはどのような影響があるのでしょうか？

喫煙による精子への具体的な影響とは

喫煙が精子に与える具体的なダメージとは、一体どのようなものなのでしょうか。

①精子のDNA構造の突然変異

カナダ保健省の研究者が発表した研究によると、マウスを使った実験でタバコの煙が精子のDNA構造の突然変異を起こすことが判明。その変異の確率は1.4～1.7倍にもなり、変異した精子で受精し生まれてきた子供はその変異を受け継いでしまう。

②運動率低下

精子の運動率は、丸く膨らんだ頭が司っているが、喫煙により機能が低下した精巣で作られた精子は、その頭の部分が小さいもの（小頭精子）になる可能性があり、運動能力が低下する。ある調査では、喫煙によって総運動精子数は16.6%も低下してしまうことが報告されている。またせっかくの正常な運動能力を持った精子のDNAを傷つけてしまうこともある。

③数の減少

アメリカ・ノースカロライナ大学の研究データでは、喫煙者の精子数は非喫煙者に比べて1mlあたり15～24％も少なくなっていることが判明している。

④受精力の減少

受精力とは、受精するために必要な卵子との結合力のこと。アメリカ・バッファロー大学の研究データでは、1日4本以上かつ2年以上の喫煙歴を持つ男性の精子は、非喫煙者と比較して受精能力が4分の1しか認められなかった。決して不妊というわけではないが、かなり受精力は減少している。

このように、喫煙によって精子の質はどんどん低下していくのです。

ED患者の80％以上は喫煙者

タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させることは有名ですが、ED（勃起不全）は、喫煙によって引き起こされることがあります。というのも、陰茎は複雑な血管網でできていて、その陰茎の海綿体を貫く動脈に血液が満たされることで勃起するからです。その血管が収縮するわけですから、陰茎もしぼんでしまい、仮に勃起できたとしても中折れの原因になってしまうのです。
実際ED患者の80％以上が喫煙者というデータがあり、EDの治療薬の効果が喫煙のために落ちてしまうことも報告されています。オーストラリア・シドニーの研究結果になりますが、1日20本以上タバコを吸う喫煙男性は、非喫煙男性に比べて1.39倍もEDになってしまう危険性があります。健康な精子のためにも正常な性機能のためにも、できる限り禁煙したほうが良いのは明らかですね。