赤ちゃんが欲しい!不妊カップルは6組に1組ってホント?
「6組に1組」これって一体何の数字?
このサイトをご覧になっている方は、不妊治療を行っているか、今後不妊の検査を受けようとしているか、あるいは赤ちゃんが欲しいと思ったときに不妊と診断された場合を想定しているか、いずれにしても不妊に何かしらの興味を持って情報を集めたいと思っている状態ではないでしょうか。不妊に限らず自分が何かしらそれまでとは違う状態に陥ったとき、自分だけがこんなことになっているのではないかと不安な気持ちになりますよね。
2010年6月に行われた「第14回出生動向基本調査」によると、不妊の検査や治療を受けたことがある、または現在受けていると答えた夫婦は全体の16.4%だったそうです。つまり6組に1組が不妊ではないかという疑念を持って医療機関を訪れたということになります。これは割合としてとても多い印象を受けます。
さらにこの調査は5年ごとに行われているものですが、2005年の調査では13.4%、2000年は12.7%でした。つまり不妊の検査や治療で医療機関に訪れる人は年々増加しているのです。

不妊症率、世界平均9%に対して日本は16%
「6組に1組」というのは世界全体から見ると多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。2007年の世界各国の不妊に関する調査によると、世界平均は約9%、すなわち日本での最新の調査結果16.4%は世界平均を大きく上回っているということがわかります。
日本の不妊症率が年々増加している理由としてまず考えられるのは、女性の社会進出によって晩婚化が進んでいることです。日本の初婚年齢は29.4歳で世界32番目であり、同じく女性の地位が高いイギリスやドイツも30歳を超えています。結婚する年齢が高くなればなるほど子どもを産む時期も遅くなり、不妊の確率は高くなります。
また、日本では「不妊の原因は女性にある」という意識がかなり強く、それもまた不妊症率が高い要因の1つであると考えられます。実際には不妊の50%近くは男性が関与する要因によるものであるにも関わらず、日本男性は不妊という問題に女性ほど深刻に取り組まない傾向が強いと思われます。その結果、女性は1人で悩みがちになり、日本全体としても正しい不妊対策への対応が遅れてしまう、というのが現状ではないでしょうか。
日本と海外の不妊治療の違い
医療機関で行われるタイミング法、体外受精、顕微授精といった不妊治療の選択肢は日本も海外もあまり変わりません。大きく異なるのは不妊治療にかかる費用と社会認識です。日本では不妊症の検査や治療には保険が適用されるものとされないものがあり、治療期間が長引くと数百万〜1,000万円もの治療費がかさむことになります。そして多くの場合子どもが授からないと女性がひとりで悩み、自分を責めてしまうケースが多いでしょう。
海外の不妊治療事情を見てみると、例えばアメリカではタイミング法を何クールも行う代わりに体外受精や代理出産など、そのカップルにとってできるだけ結果が早く出る治療法を勧められる、スペインでは40歳未満の人は不妊治療費が無料、フランスでは男女揃って検査を受けなければ治療を進めることができないなど、各国それぞれ特徴的な不妊治療が行われています。いずれも日本よりも不妊症への社会的認識が高く、積極的かつ前向きに治療が行える雰囲気が感じられます。
日本でも2016年4月から不妊治療の費用を保障する保険商品が解禁され、2017年10月に特定の不妊治療に適用できる保険が発売されることになりました。日本でも今後ますます不妊に関わる制度の改善や社会的認識の向上が進むことを願います。
