男性不妊サプリは精子形成には影響しない？副作用や注意点まとめ

精子の形成過程を理解する

さて、妊活を行っていく上でサプリメントを飲むのは本当に意味があるのか？というのは多くの妊活中のカップルが１度は考えることだと思います。その答えを見出すためにも、まずは自分の体の仕組みを知る必要があるのではないかと考え、精子の形成過程について調べてみました。
僕たちは母親の体内でまだ胚である段階から精子や卵子の一番最初の形である始原生殖細胞というものを持っています。男性の場合はこれがある時期に精原細胞となり、僕たち自身の成長と共に一次精母細胞という状態になっていきます。これが分裂して二次精母細胞になり、さらに分裂して精子細胞になり、その精子細胞が精子になるのです。つまり1つの始原生殖細胞から4つの精子ができるというわけですね。最初の細胞分裂からここまでに74日間かかるそうです。
こうして出来上がった精子は精巣上体、精管を通って出て来るわけですが、この移動中にもさらに熟成されていきます。最初の分裂から体の外に出るまでは約3ヶ月。正常な精子が順調にこの過程を通るだけでも、生成された精子の約40％が失われていくそうです。つまりこの複雑な過程を生き抜く元気な精子を作り出すためには、必要な栄養素が1つも欠けてはならないということがよくわかりました。

亜鉛が精子の形成に与える影響についての誤解と真相

精子が作られていく中で必要な栄養素としてまず考えられるのは、精子そのものを形成する栄養素です。主成分は亜鉛やアルギニンと言われていますので、まずはその2つをしっかり摂らなければと思いますが、一方で亜鉛は実は精子に悪影響を与えるという説もネット上でよく見かけます。
本当のところはどうなんだろうとあれこれ調べる中で、「精液中に亜鉛を混ぜることにより、酸化ストレスを減少させる可能性があるが、過酸化物がない場合は亜鉛の毒性にて精子の状態は悪化する」という研究発表を見つけました。亜鉛が精子の形成に悪影響を及ぼすという話をネット上で見かけるのはこういった研究結果をもとにして話が広がっているのかもしれません。
つまり、精子は亜鉛やアルギニンでできている＝亜鉛やアルギニンをできるだけ大量に摂取すればいい、ということではないということですね。さらに摂取のしかたによっては健康な精子を減らしてしまうことにもなりかねません。摂取すべきと言われている栄養素が体内でその力をうまく発揮するには、量と組み合わせが重要ということがよくわかります。

亜鉛サプリは適正量の摂取を！

事実、亜鉛は体内のあらゆる部位で多方面に働きかけ、すばらしい効果を生み出してくれる非常に重要な栄養素である一方で、過剰摂取により頭痛や発熱、嘔吐、倦怠感、脱水症状、腎臓障害などの副作用を引き起こします。
成人男性の亜鉛摂取量の上限は1日に40〜45mg。ちなみに生牡蠣100g（約5個）には亜鉛が13.2mg、豚肉（レバー）100gに6.9mg、牛肉（肩）100gに4.9mg、といった感じで含まれているそうですが、そもそもしっかり体内に取り入れるのが難しいと言われる亜鉛は、普通に食事をしていて過剰摂取に至ることはなかなかないようです。
ただ、サプリで亜鉛を摂る場合には注意が必要です。サプリは食材で亜鉛を摂るのと違って飲んだ分だけ確実に体内に摂取することになります。そのため適量を守らず１度にたくさん飲んでしまうと比較的簡単に亜鉛中毒になってしまいます。よいサプリメントは、各栄養素の量と組み合わせが考え抜かれた上でベストな状態で配合されています。亜鉛に限らず体に必要な栄養素は適量を毎日継続して摂ることが重要であるということを覚えておきましょう。